マブエの絵本日記

絵本を読んだこと、見たこと、思うことなどを綴ります。

『ぼく、にげちゃうよ』が好きになった

母が子供の自立心を潰す怖い絵本だと思ったけど

ぼくにげちゃうよ

ぼくにげちゃうよ|文:マーガレット・ワイズ・ブラウン|絵:クレメント・ハード|訳:岩田みみ|ほるぷ出版

この絵本、読み方次第ではかなり恐怖なんですが、私は好きです。
昨日、はっきり好きだと言えるようになりました。
昨夜の読みきかせで、小2の息子がリクエストしてきて、久々に読みました。

なぜ、読み方次第で恐怖かというと、このウサギのお母さん、必ず子ウサギの息子を捕まえるのです。
子ウサギがあの手この手で逃げようとしても、ならば私はこうするわよ!っと逃がさない。

お母さんの執念がすごい。
すると、最終的に子ウサギは逃げるのを諦めちゃうんです。

「ふうん。だったら、うちにいて、かあさんのこどもでいるのと おんなじだね」と。

怖くないですか?!

でも、逃げ方と追い方がファンタジー

この絵本、子供の自立をダメにしちゃうやつじゃないのか?!って最初は思いました。
でも、この絵本の魅力的なところは、逃げ方と追い方がファンタジーなんです。

この絵本を最初に読んだのは息子が小1のときでした。
怖い絵本だなと思っていましたが、見開き絵で盛り上がると確信していたので、読み聞かせボランティアでクラスの子ども達の前でも読みました。

この絵本のストーリーには展開パターンがあって、最初は親子の言葉のやり取りがあります。

子ウサギ「ぼく、にげちゃうよ!〇〇になってなんちゃらかんちゃら~」
母ウサギ「お前が〇〇になるなら、母さんは△△になってなってなんちゃらかんちゃら~」

このとき挿絵はモノクロ画です。
でも次のページを開くと、カラーの見開き絵になります。

そして、〇〇になった子ウサギと△△になった母ウサギの様子が描かれている。
見開きに文字は一切なくて、絵だけが物語ります。

宣言どおりに、子ウサギが〇〇になっていて、母ウサギが△△になっている。
たぶん、親子の会話でちょっと想像したイメージの斜め上をいく絵なんです。
斜め上というか、想像しきれなかった部分がちゃんと絵になっている。

この見開き絵のタイミングはしばらく眺めて楽しめます。

子ども達の反応はというと、、指さして盛り上がる。

これぐらいの年頃の子どもにしてみたら、大好きなママが追いかけてくれるって感じなんでしょうか。

母ちゃんスゲーっ

昨日も、久しぶりに読んでみて息子は笑ってました。
今まであまり気にしていなかったある箇所に気づいて。
子ウサギが魚になって逃げるシーンで、母ウサギは漁師になっているところなんですが、その母の前の大木がバキッと折れている。

なんで折れているのか?!
母がバキッと蹴りでもいれたのか拳で殴ったのか?!

母ちゃんすごっ、こわっ。笑
そんなこと想像して、笑いました。

読み方次第では恐怖です。
けど、だんだん執念の母がコミカルに見えてきて、途中から母ウサギと子ウサギのお約束漫才のように読みました。

子ウサギ「ぼくにげちゃうよん♪」
母ウサギ「じゃあこうするよん♪」
みたいな、ノリノリな感じで読んでみました。

どちらも内心、「逃げなくてもいいや」「逃げてもいいや(いいのよ)」みたいな感じです。

「だったら、うちにいて、かあさんのこどもでいるのと おんなじだね」ってセリフが、
「なんだ、逃げても逃げなくても自由だね」って思えたから不思議。

この絵本、好きになりました。

 

▼絵本

ぼくにげちゃうよ (海外秀作絵本) | マーガレット・ワイズ・ブラウン, クレメント・ハード, 岩田 みみ |本 | 通販 | Amazon