【読み聞かせボランティア講座】どの本を読むか?
選書は生き方
読み聞かせで「何を読んだらいいですか?」という質問は、「どう生きたらいいですか?」という質問と同義です。
良い読み聞かせ方、読み聞かせに向いている絵本は確かにある。
でも最終的に何を選び読むかは、あなた以外の誰かが決めることではない。
絵本読み聞かせ講師とんちゃんの言葉だ。(一言一句、再現しているわけではないが、こんな感じのことを話してくれました。)
去年、私はとんちゃんの「読み聞かせボランティア講座」に花菜ちゃんと参加した。
受講者は4人、それぞれが読み聞かせしてみたいと思う絵本を持ち寄ってレッスンを受けた。
読む前の準備、絵本の持ち方、読み方、絵本の選び方…盛りだくさんだった。
そして何より大切なこと、いわゆるテクニックとは違う教えがそこにはあった。
読み聞かせは選書が命。
そしてそれは、あなたがどう生きたいかを考えることであると言うのだ。
私はどう生きたいか。
読み聞かせ図書ボラティア、深いっす。
深すぎる!
『ジャリおじさん』を読む勇気
『ジャリおじさん』は、独特な世界観を持った絵本だ。
この絵本は、読み聞かせに向いているのか向いていないのか?
私は当時、小2の息子のクラスでこの絵本を読むか迷っていた。
好きな本だけど、これは誰かに読み聞かせてもらうものではないのかもしれないと思った。
ジャリおじさんの「ジャリジャリ」の響き。
「ドドンコ トントコ ドコドコ トン ドンドコドン トコトン」とタイコおじさん。
私の声で読んでしまって、世界観を壊さないだろうか?
子どもたちがそれぞれの「心の声」で読むのが一番じゃないのか?
そんな葛藤があって、読み聞かせするのを躊躇していた。
私の手で開き、私のタイミングで次のページをめくっていくことの責任感。
いつまでも眺めていたくなるような絵の魅力を、「自分の声で壊してしまうこと」がとても怖かった。
大人に『ジャリおじさん』を読んでみたら
とんちゃんと他の受講者の前で『ジャリおじさん』を読んだ。
本を開くタイミング、読む速さ、声のトーンなどなど、意識した。
読み始めは心臓がドキドキしていた。
ページが進んでいくうちに、心臓のドキドキは聞こえなくなった。
5分程度で『ジャリおじさん』を読み終えた。
そして、とんちゃんも含め、受講していた方々から以下のようなコメントをもらった。
▼『ジャリおじさん』を見た感想(一部抜粋)
- 不思議なストーリーと絵
- 頭の中に???が浮かんでいました、ごめんなさい。
- 大人が(も)楽しめる絵本ですね?
- ストーリーは難しい?でも読み終わったあと「ジャリ?」と付けて話す子がいそう。
- 感覚的絵本。
- ストーリーの雰囲気とマブエの淡々とおっかなく読む感じが、世界観にあっていた。
- 見返しも、もう少し見たかった。
- 小学2年生ならこの絵の世界へ入っていける子がいるかもしれない。
- こういう意味のわからない「なんなんだ?!」って絵本に出会わせるチャンスを私たちは持っているんだな。
これらの感想は、コメントシートに書かれていて、読み手に渡された。
客観的な意見はとても参考になった。
▼コメントに対する私の感想
いただいたコメントに対する私の感想を振り返るとこんな感じ。
不思議なストーリーと絵
頭の中に???が浮かんでいました、ごめんなさい。
ごめんなさい?
謝られてしまった!!( ゚Д゚)
意味がわからなくていい、わからないのがいいと思っていたので、理解できずにごめんなさいという感想は新鮮であり衝撃的だった。
大人が(も)楽しめる絵本ですね?
確かに、私はこの絵本を20代の頃に知って買ったもの。
画集を見るような感覚かもしれない。
子どもにはどう映るんだろう。
読み終わったあと「ジャリ?」と付けて話す子がいそう。
それいいな!
もし、そんな子がいてくれたらとっても嬉しい。
感覚的絵本。
ストーリーの雰囲気とマブエの淡々とおっかなく読む感じが、世界観にあっていた。
見返しも、もう少し見たかった。
花菜ちゃんの感想だ。
え?マブエのおっかなく読む感じって…?
おっかなく読んでいるつもりは全然なかったのだけどな。笑
冷静に声色を特に変えることなく、いつもの声で読んでいたんだけどなあ、それが怖いのか?!
具体的にどこがおっかなかったのかと聞いてみた。
椅子に座って数秒間、無言で表紙を見せていた間が、ちょっと怖くてマブエらしくて、それが良かったそうだ。
でも、表紙見せの時間に対して、「見返し」をめくるのが少し早かったとのこと。
(※見返しとは、表紙をめくって最初に見開く部分です)
「見返し」には、表紙のイラストと同じくジャリおじさんが描かれている。
黄色背景に白いラインで描かれていて、ぱっと見だと模様のように見えるのだけど、よく見ればすぐに表紙のジャリおじさんとわかるのです。
ここもゆっくりね、了解。
小学2年生ならこの絵の世界へ入っていける子がいるかもしれない。
こういう意味のわからない「なんなんだ?!」って絵本に出会わせるチャンスを私たちは持っているんだな。
とんちゃんの感想だ。
出会わせるチャンスかぁ。
とんちゃんは『ジャリおじさん』をクラスで読み聞かせしたことはないそうだ。
とんちゃんが読んだことがない絵本を読んでみるという好奇心が膨らんだ。
▼自分の読み聞かせ(動画)を見て
実践レッスンでは、とんちゃんが受講者のスマホで動画撮影してくれた。
その動画を確認すると…
あんなにドキドキした心臓の音は動画からは聞こえなかった。(そりゃそうだ)
自分が思っていたより、手の震えも気にならなかった。
客観的に見ると、落ち着いて読んでいるように見えた。
花菜ちゃんの言う「おっかない感じ」もなんとなくわかった。笑
やっぱり子どもたちに『ジャリおじさん』を読んでみたい
感想をもらってみて…私の覚悟は決まった!
覚悟というよりむしろ、今度は子どもたちに読んでみたくなった。
意外なことに ”ごめんなさい" という感想が、私の背中を一番押してくれた。
もし、今日の相手が子どもだったとしたら、どんなコメントが飛び出したのだろうか。
「意味がわからない!」と叫ばれたかもしれない?
それでも伝えてみたい。
堂々と、へんてこな世界を。
我がクラスの子ども達と、このへんてこな世界観に入りたい。
そんな気持ちになった。
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▼絵本
ジャリおじさん (日本傑作絵本シリーズ) 作:大竹伸朗 |本 | 通販 | Amazon
▼講座の様子(読み聞かせ絵本講師とんちゃんのブログ記事です)
実際、どんな風に読み聞かせボランティアをしているか?