9歳の哲学者
湯舟のふちに腰をかけた息子。
息:おれね、H(息子の友人)に聞いてみた。「人って生きる意味あると思う?」って。
マ:へー、Hはなんて言ったの?(湯舟の中から、息子の顔を見上げた。)
息:『あるでしょーがー!ご飯食べたりーっ』って言った。
Hの言い方を真似してなんだか楽しそうに話す息子。
私はなんだか、ほっとした。
マ:へー、即答だった?何も考えないですぐ答えたの?笑
息:そう!だからおれ、もっと聞いたの。ご飯に意味があるの?食べる意味ある?って。
マ:そしたら?
息:うーん(まゆげをさげて首をかしげるHの真似をしている)ってなって、『Iくん(学童保育の若い男性スタッフ)に聞いてみたら?』だって。
マ:Iくんにも聞いてみたの?
息:言わないよ!きっとそんなこと言ったら怒られると思うもん。
マ:えー?そうかなあ。きっとIくんも考えてくれそうだけどなぁ。まあちょっと心配されるかもだけど。笑
息:うーん(悩)
マ:ママは心配しないよ、むしろそんな質問してくる〇〇(息子の名前)を尊敬するっていうか、誇らしいくらい。
湯気を挟んで私と息子の目が合う。
ふいに褒められちょっと驚いた様子。
マ:でも『意味あるでしょーがー!』って考えずにすぐ言えちゃうHも素敵だと思う。Hとはいいコンビだね、Hがいてよかったね。大事にしたいともだちだね。
息:うん
息子の頬がさらにゆるんだ。
この可愛い哲学者と一緒にお風呂に入れなくなる日は近いんだろうな。
この日、湯舟から見上げた息子の表情を私はたびたび思い出すような気がする。
---追記
下書きにずっと入っていたこのエピソード。
もう、息子と一緒に湯船に浸かることはなくなっている。
ああ、こんなことあったなあと思い出しました。