マブエ、花菜ちゃんの絵を買う。
人生の転機となる絵
山田花菜ちゃんの絵です。
小田原のミントココアというカフェで開催されていた『こども風景』という個展での作品です。
初めて、ちゃんとお金を払って花菜ちゃんの絵を手に入れました。
「マブエの日記は役に立とうと構えすぎだよ」って言ってくれたのは、この花菜ちゃんです。
花菜ちゃんとは昔、同じアトリエに通っていました。
私にとって、花菜ちゃんの作品を買うという行為は、特別な事です。
どんなふうに特別なのか、どうして今まで買おうとしなかったのか、うまく説明できないのだけど。
私の中でいろんな思いがありました。
私が花菜ちゃんの絵を買う時がきたら、それは私が「絵を描かなくなったとき」のような気がしていました。
それは私が「夢を諦めたということ」と同義のような気がしていました。
花菜ちゃんがひたむきに絵本作家を目指していく中で、私はどんどん描くことから遠ざかっていました。
私の仕事上の肩書は「デザイナー」となり、絵具や筆を握ることはなくなっていました。
子どもを産み、母となった自分は「イラストレーターになる夢が叶わなかった大人」として受け入れる時期にきたんだと思っていました。
でも今年の夏、父が脳梗塞を発症して体の自由を失ったのを機に「生きる時間」について深く考えるようになりました。
私の気持ちは変わりました。
花菜ちゃんに「この絵を売ってほしい」と言ったときの私の気持ちは違うものでした。
「夢を諦める」のではなくて「もういちど夢を叶える努力をしたい」という気持ちでした。
この絵の中には、自分の息子がいるような気がしています。
私には、一番上で寝ているのが息子で、
赤いズボンの子が花菜ちゃんの長男くんで、
ブランコに乗っているのが次男くんに見えます。
白いフクロウは自分に思えました。
そのことを伝えたら、花菜ちゃんがアヒルを添えてくれました。
個展中はフクロウしかいませんでした。
アヒルは花菜ちゃんという設定です。
これからも、この絵のようにお互いの息子たちを見守りながら、自分の「今」も楽しんでいきたいと思います。
大げさだけど、私はこの1枚の絵を買ったことを大きな転機にしたいと思っているのです。